先日ある税理士さんが中小企業経営強化税制の特別償却は1年繰越ができないよなって言っているケースがありました。
私も専門家が自信を持って言っているので、ほうほうと思っていましたが、ふと冷静に考えてみると特別償却は1年間繰越があるんじゃないか?と思いました。
条文をあたってみると、やはり1年間の繰越が可能でした。ベテランの思い込みは怖いと感じた瞬間でした。
そこで今回は税務判断の思い込みについて考えてみます。今回はちょっと専門家向けです!難しい話しですけど実際に会って話せば簡単です、、、(書くって難しいですね)
特別償却は1年間の繰越ができる
特定経営力向上設備等を取得した場合は即時償却が可能です。
うーん漢字ばっかりの専門用語が並んでるのでさっぱりわからん!という社長様も多いはず。
簡単に言うと、指定された期間に、指定された事業に一定の設備投資をした場合、全額がその期間の費用にできますよ〜という制度です。
この制度を自社で使えるかどうか気になる方は、税理士の先生に確認ください。
さて、この制度ですが、償却不足額があった場合は1年間繰越できるのでしょうか?
条文を確認してみましょう。
条文は租税特別措置法の52の2になります。
(特別償却不足額がある場合の償却限度額の計算の特例)
第五十二条の二法人の有する減価償却資産で第四十二条の五第一項、第四十二条の六第一項、第四十二条の十第一項、第四十二条の十一第一項、第四十二条の十一の二第一項、第四十二条の十一の三第一項、第四十二条の十二の三第一項、第四十二条の十二の四第一項、第四十三条から第四十四条まで、第四十四条の三若しくは第四十四条の五から第四十八条までの規定又は減価償却資産に関する特例を定めている規定として政令で定める規定(次項において「特別償却に関する規定」という。)の適用を受けたもの(次項に規定する一年以内連結事業年度において第六十八条の四十第一項に規定する特別償却に関する規定の適用を受けたものを含む。)につき当該事業年度において特別償却不足額がある場合には、当該資産に係る当該事業年度の償却限度額は、法人税法第三十一条第一項又は第二項の規定にかかわらず、当該資産の普通償却限度額として政令で定める金額に当該資産に係る特別償却不足額を加算した金額とする。
思い込みでの判断は怖い
税理士ですので、税金の専門家です。
しかし、税金の世界は奥が深いですし、条文も覚えきれないほど多いです。
税金の法律ははっきり言って宇宙のような存在です。全て把握しきるなんて不可能です。
なので、少し気になることがあれば、全力で調べますし、わからないことがあれば知り合いの先生にお伺いすることも多いです。
ベテランになればなるほど、経験も多く、税法にも精通してくるため、頭の中に条文が入っています。
お客様の質問にもぱっと回答できるようになります。
しかし、怖いのは思い込みによる回答です。
日々税法は改正がありますので、知識は陳腐化していきますし、似たような税制も多いので、判断に迷う場面も多々あります。
完全に100%適切な回答をしていると思っていても、自分が思い込んでいるだけで、誤った判断をしているのかもしれません。
思い込みでの判断は怖いです。
気になることは専門家に相談すべし。セカンドオピニオンがいるとなおよし。
税理士も人間ですので、誤った判断をすることがあります。
経費の基準などは100人の税理士さんがいれば100通りの判断があってもおかしくないです。
とにかく気になることがあれば、税理士に相談してみてください。そしてみなさん自身がもっと知識をつけて、根拠法令はなに税の何条ですか?とさらっと聞いてみてください。
丁寧な税理士さんはきちっと回答があるはずです。
さらに、セカンドオピニオンとして別の税理士さんに聞ける体制があればなお良しですね!
私はひとり税理士なので、自分の判断が適切かどうか、なんでも相談できる税理士の先生がいたらなぁ、、、なんて思います。笑
周りの税理士の先生はどうしているのだろうかと気になる蟹山でした。
<編集後記>
本日は保険会社の方と打ち合わせ。事務所に戻って税務署対応。その後は若手士業の集まりで梅田に移動して会食。
<本日の1日1新>
魚Italian&Oyster wharf
お魚と牡蠣が美味しかったです。定員さんが美女揃いでした。士業の集まりは参考になりますし、毎月お会いすると仲良くなりますし一緒にお仕事がしたくなりますね。