関与して間もない社長から聞かれるお悩みで、スーツ、鞄、時計、靴は経費になるのかという質問があります。
まずはっきり断言しますが、基本的に経費にはなりません。
スーツ、鞄、時計、靴などは社長のポケットマネーで買ってくれという税務署のスタンスがあるためです。
個人的には経費になる可能性もあるのかなとは思いますが、提案としてはおススメしぬいものです。
そこで今回は、社長のスーツ、鞄、時計、靴は経費になるのかについて考えてみます。
基本的には経費にならない
社長がスーツ、鞄、時計、靴などを個人的に買った場合は基本的には会社の経費にはなりません。
なぜなら、これらはあくまでも会社の経費として買うものではなく、社長のお給料の中から買うもの(家事費)だからです。
つまり、事業との関連性がない出費となります。
事業に関係ない支払いは経費にはならず、節税することもできません。
経費になるにはどんな条件が必要なのか
スーツや鞄、時計、靴などを経費にするにはどのような条件が必要なのでしょうか。少し考えてみます。
・スーツの見える場所に会社名が刺繍されている(スーツのポケットに刺繍してポケットをしまえば社名を隠せるなどはNG)
・高級な腕時計ではなく、執務室内の壁掛け時計や置き時計だ
・靴は高級な靴ではなく、社内で誰でも使える靴だ
・鞄も高級な鞄ではなく、社内で誰でも使える営業用カバンだ
、、、書いていてバカらしくなりました。
スーツに会社名が入っているとかダサすぎますね。
さらに、スーツを福利厚生として社員に支給する場合、福利厚生費ではなく給与課税される可能性がありますので注意が必要です。(従業員に給与を支給してそのお金でスーツを買ったという発想です。)
スーツを経費にしていた場合の事後の経理処理について
今までに担当していたお客さんで、スーツや鞄、時計、靴を経費で購入してしまっていたケースをこれまでに何回か見たことがあります。
税理士はあとから会社の経理をチェックして違和感がある支払いを発見するわけです。社長のスーツなどを会社の経費にするわけにはいきません。
この場合、会社としては事後的にどのような経理処理が必要なのでしょうか。
まずは経費処理されているスーツ代を社長勘定(役員借入金、短期借入金など)で修正することとなります。社長勘定を使用していない場合はとりあえずは仮払処理し、社長からのちのち返金してもらって、仮払金を相殺するなど、経費処理されているスーツ代うまく打ち消す必要があります。
決算日をまたいでしまい、スーツ代をうまく修正処理できなかった場合は、会社の帳面上は社長にスーツ代を貸し付けているという記録(社長貸付金という勘定科目)が残ります。
つまり、会社の帳面が汚れた状態ですね。この科目は金融機関も嫌がりますし、税務上もいくつかの論点が生じてきます。
決算前にはできるかぎり税理士と打ち合わせをして、決算対策されることをオススメします。
<編集後記>
本日は銀行の担当者と打ち合わせ。その後は不動産会社の担当者と物件についての打ち合わせ。その後はHPの作成作業。その後は友達の経営相談。その後はプライベートの旅行の計画で友人とカフェ。
<本日の1日1新>
BANCO
心斎橋のカフェ。Wi-Fiがない今では珍しいカフェバーです。