11月中旬になり、税理士事務所では年末調整のシーズンが到来しています。この時期は税理士事務所のみならず、お客様も年末調整の作業に追われています。年末調整は所得税を語る上では外せません。「よく聞くけどよくわからない」との声が多い、年末調整とはどういったものなのでしょうか。かんたんに解説します。
年末調整ってなに
年末調整とは、サラリーマンなどの給与所得者の1年間の税金の額を確定させることです。
会社や派遣会社と雇用契約を結んでいるみなさん、
みなさんは「給与所得者」です!
まず前提として、現在の日本に給与所得者は何人いるのでしょうか?
答えは5,744万人です。(28年度12月31日現在国税庁調べ)
この5,744万人が確定申告のタイミングで税務署に税金を納めに行けばどうなるでしょうか?
きっと税務署は対応しきれずパンクしてしまいます。
国側としても5,744万人の税金の入金が毎年1度しかないというのは、国家の運営上よろしくないでしょう。
私も、もし会社から「明日から給料の振り込みは年に1度にする!」と言われるとシビレテしまいます。
そのため、給与所得者は毎月のお給料・賞与などから所得税や住民税が天引きされる仕組みとなっています。
実は、この天引き額は仮計算として、普通はちょっと多めに天引きされています。
<イメージ>
毎月の天引き額×12>12か月分の適切な税金の額
この多めに天引きされている税金を適切に再計算する作業が年末調整なのです。
余談ですが、毎月の給料は口座入金のため奥様に差し押さえられている従業員の方が、年末調整の還付は現金手渡しで交渉されるケースもあります。笑
このブログを奥様が見ていないことを祈ります。
税金や社会保険料や控除の金額は合っているか
みなさんは自分の源泉徴収票をしっかり確認していますか?
実は税金の額や社会保険料の額、扶養や保険料控除の金額は間違っていることがあります。
間違う理由は様々です。
①会社から記入を求められている書類の記載を間違えているケース
ちなみに、会社から記入を求められる書類は下記の3種類です。
・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
・配偶者控除等申告書
・保険料控除等申告書
②税理士事務所や会社の入力ミスなどの人的ミス
③必要な書類を期日までに準備できなかった場合
などなど、年末調整は間違っているケースも多いです。
実際に間違っていると税務署から私たち税理士に電話がかかってくることもあります。
その場合は1月末までであれば再計算することができます。
1月末に間に合わなければ、確定申告をすることも可能です。
保険の控除のはがき・ふるさと納税の書類が期日に間に合わなかったという方も多いのではないでしょうか。
一度みなさんの源泉徴収票と毎月の給与明細を再確認されることをおすすめします。
自分のお金に興味を持つことが税金を理解する第一ステップです!
今年も一年お疲れさまでした
今年もみなさまお疲れさまでした。
年末まであっという間に時間は過ぎそうで怖いですね。
私は業務が終わらなさ過ぎて震えています。
私自身のお客様では年末調整の業務はない(お客様の経理部で完結するため)ですが、社長や従業員、友人から年末調整について聞かれることは本当に多いです。
社長自身も従業員に聞かれてよくわからず困っているとの声が多いです。
知らないでは済まされないです。損する可能性があるのですから。
<編集後記>
今週は9月決算法人の申告書作成と株価算定業務。資産税は奥が深すぎてオバケです。
<本日の一日一新>
ボヘミアン・ラプソディ鑑賞。素晴らしい映画でした。